ベトナム・ライフスタイル

グローバル製造業の強い味方!ベトナムの日系工業団地の特徴を解説

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※この記事は月刊エミダス(ベトナム版)の2020年4月号で掲載したインタビュー記事と同じものです※

中小企業、とりわけ製造分野の企業がベトナムに進出する場合、どのような手段が最適といえるだろうか。

ここでは「自社工場を作ってしまう」「現地企業への製造委託」などの手段が考えられる。しかし、一長一短ではあるが、自社工場を作るには時間・手間など初期費用がかかりすぎるし、委託製造では品質管理の面で相当の労力を割くことになるだろう。

そこでお悩みのアナタにオススメなのが、工業団地でのレンタル工場の活用だ。

 

イントロダクション ~そもそも工業団地って?~

工業団地とは、工場をバランスよく配置するために分譲された土地のことで、電気・水道・排水など基礎インフラが整っていることが特徴だ。郵便局・銀行・ガソリンスタンドなどを団地内に設けているものもあり、異国の地に進出する企業からするとありがたい環境が揃った土地といえるだろう。

また、団地というコミュニティを作ることで情報共有ができ、従業員の要望を団地全体で理解することでストライキなどを事前に防げられる効果もあるという。同じ工業団地で工場を拡張しにくいというデメリットがあり事前に条件を確認しておく必要こそあるが、全体的にみると自社工場や製造委託より遥かに進出手段としては優れているイメージを持つのではないだろうか。

そこで今回は、ベトナムにおける日系工業団地の基礎知識・団地別の特徴を掘り下げることで工業団地について理解を深めていこうと思う。また、日経のみならず面白い海外系・ベトナム系工業団地も記載した。これらも是非参考にしてほしい。

 

入門編   ~これで完璧!ベトナムの工業団地の基礎知識を理解しよう~

ここまで「工業団地とはなんぞや」ということで解説を進めてきたが、ここからはベトナムにおける工業団地の特徴について基礎知識を共有していこう。

ベトナムには300を超える工業団地があるといわれており、それぞれ特徴も異なっている。

300も工業団地があることに驚きをおぼえる方も多いかと思うが、ベトナムからすれば海外進出のハードルを下げ優遇制度を設けることで、海外から企業を誘致し国内産業もまた発展させたいという思惑があるのであろう。実際、キャノン・パナソニック・ヤマハ・住友金属・資生堂など、日系企業だけで見ても工業団地には名だたる企業が誘致されているというデータもある。

ベトナムの高度成長と工業団地は、まさに切っても切れない関係にあるのだ。

ちなみに、日系企業の工業団地はローカルの団地と比べて不動産コストが高いが、サービス面やインフラ面はより充実している傾向があるようだ。また、投資の許可申請などのサービスを提供したり、団地に常駐する日本人スタッフを通すことで外国語なしに相談したり諸事務を片付けられるケースも多い。

さて、工業団地を選ぶ際には、受けられるサービス・費用対効果というコスト面・必要なインフラの有無の他に、ロケーションにも注意する必要がある。

交通状況によっては物流に時間がかかってしまう可能性があるし、空港や港などで輸入した製品を輸送する場合にはその距離も考慮する必要があるだろう。例えば、A団地とB団地が「北部工業団地」と同じ地方の団地として分類されているにもかかわらず、その間の距離が約150km離れているという場合もある。まだ交通インフラが完璧とはいえないベトナムだからこそ、「なんとなくここで」ではなく、団地までの距離はしっかりと把握しておくことは必須となるであろう。

そして、最後に気にするべきポイントは「団地の特色」だ。

300を超える団地があるベトナムだが、そのほとんどの特徴が異なり、文字通り千差万別の形相を見せている。それぞれ長所・短所があるので、これよりそれらを有名なものに焦点を当て、深堀りしていこうと思う。

今回は日本人向けに日系団地を紹介する目的で記事を作成しているが、調べている中で面白い工業団地もあったため記載させていただいた。団地は日系だけが進出先の最適解になるとは限らないため、是非こちらも参考にしていただきたい。

 

中級編 ~それぞれの立地と特徴を理解しよう~

北部(ハノイ)編

※写真は下記のタンロン工業団地※

まずご紹介するのは北部地域(ハノイ)だ。ベトナムの首都として日進月歩の成長を遂げているハノイだが、その北部地域には50ヶ所以上の工業団地が存在している。道路網の整備が進んだことで、ハノイ中心地のみならず郊外でも進出や開発が進められる傾向がある。また、ベトナム北部最大の港湾都市であるハイフォンには中心部から約2時間でアクセスできる。輸出入や貿易を行う企業にとって魅力的な立地と言えるだろう。

  • タンロン工業団地

主な進出企業:キャノン・パナソニック・ヤマハ

タンロン工業団地はノイバイ空港から南に車で20分の場所に立地する団地で、1997年に住友商事とベトナム国営企業によって出資され設立した。

この団地の最大の特徴は、安定した電力が供給されていることだ。最高品質のインフラが整備されている恩恵から、電力不足による停電は開業以来たった1度のみだという。定期的な高圧電力配電盤のメンテナンスを実施しており、その品質の高さが伺える。

また、日本人スタッフが常駐している点も嬉しい。入居企業の9割に当たる80社が日系企業というタンロン工業団地。管理事務所の日本人スタッフによる問い合わせ・相談が容易に行える環境が整っているのだ。働き手の応募も多く、スタッフやエンジニアも比較的採用しやすいという。WEBページの進出マニュアルによると現在は土地使用権を販売していないようだが、日系団地を語る上では欠かせない団地のひとつであろう。

 

  • 野村ハイフォン工業団地

主な進出企業:野村ホールディングス・コクヨ

ハイフォン港から15キロ西に位置する、野村グループによって1994年に開発された団地である。

ベトナム北部初の工業団地ということで入居企業が当初は集まらなかったが、経済発展とともに入居企業が増えていったという。ハイフォン港を利用する企業を鑑みて、団地内にハイフォン関税の支所が設置されている。

野村グループが開発したということもあり、入居企業の9割が日系企業で構成されており、月次会合やイベントで交流しやすい場となっている。また、ハイフォン市が野村ハイフォン工業団地の株主となっているため法人設立の申請・ハイフォン市への要望申請が行いやすいというメリットもある。

 

  • ホアラックハイテクパーク工業団地

主な進出企業:三和シャッター工業株式会社・帝国通信工業株式会社

国家レベルのハイテク開発と応用の研究センターとして1998年に設立が許可。一般産業から電気系・オートメーション・バイオテクノロジーなどハイテク分野の進出を広くカバーしている。

この団地が他のものと大きく異なるのは、なんと「学園都市」をイメージして作られたということだ。筑波研究学園都市をイメージし建設されているため、研究開発施設はもちろん住居・教育施設などを備えている。将来的には“都市内”で技術者を自前で供給できるようにし、ある種の「自給自足」が成立するという。日系企業の入居数は指折り程度だが、かなり魅力的な環境として映るのではないか。

 

  • VSIPバクニン工業団地
主な進出企業:Sembcorp・Becamex

VSIP(バイシップ)は「Vietnam Singapore Industrial Park」の頭文字を取ったもので、その名の通りシンガポールとベトナムの国営企業どうしの合弁企業として設立された。

北部・中部・南部に4つの拠点を構え、その総面積は約6000ヘクタール(東京ドーム1200個以上)、総テナント数530社を誇るベトナム最大級の工業団地である。その中でもこの団地は、バクニン省にありながらハノイ市からの距離は約18キロ。通勤にも便利な距離であり、また空港へのアクセスも良い。ロンビエン地区も近いため、通勤時にイオンに立ち寄ることも可能ということから、駐在員にとっては素晴らしい環境といえるだろう。

 

南部(ホーチミン)編

 

そして最後にご紹介するのは南部地方(ホーチミン)だ。

ベトナムの経済中心地・東南アジア有数の世界都市として知られるホーチミンは、国や規模を問わず、様々な企業が進出している。南部には港が多く存在し、また工業団地との距離も近いということから貨物取引量も国内最大という記録である。

ちなみに、ホーチミン市中心街の工業団地はほとんど満室入居状態のため、郊外の団地に入居するパターンがほとんどである。

 

  • ロンドウック工業団地
主な進出企業:双日株式会社・大和ハウス工業株式会社

ホーチミン郊外に立地する大型工業団地で、大和ハウスベトナムの設計施工によるレンタル工場を提供できる。ロンドウックは中心街・貿易港までそれぞれ車で約50分ほどでアクセスできるためホーチミンの長所を最大限活かすことができるため、進出企業からは重宝されるロケーションとなっている。2025年にロンタン国際空港が開通するが、その空港も14キロという至近距離だ。標高40メートルの丘陵地帯であるため洪水に悩まされることもない。また、入居企業の8割が日系企業であることから常駐する日本人スタッフによるサポートや各種サービスが受けられるだけでなく、基礎インフラに関しても保守管理・点検を行うなど安定した品質がサポートされている。

 

  • タントゥアンコーポレーション

主な進出企業:古河電気興業・グンセ

ホーチミン、サイゴン川に面するタントゥアン輸出加工区はベトナム最古の工業団地の一つで、1991年よりタントゥアン工業開発会社と中央貿易開発企業連合の合弁事業として設立が始まった。ベトナムにおいて最も成功した輸出加工区とも言われており、20カ国・200の企業が進出している。165社のうち約60社が日系企業ということで、日系企業同士の情報交換も比較的行いやすい。「最高の仕事環境」を提供するため、光ファイバ・電話システムなどインフラ整備したオフィスパークを建設している。ホームページにはサッカー場や公園などが書かれた完成図が見られ、その取り組みへの気合が伺える。また、輸出加工区においては、輸出加工系企業に対し輸出税免除・利益の海外送還時の免税・輸入品の免税待遇など、様々な良待遇が受けられるとのことだ。

 

  • ロンハウ工業団地

2006年に設立されたロンハウは3つの貿易港まで約3キロ、ホーチミン市内にもアクセスしやすいなど立地において大きなアドバンテージを持っている。初期投資コストを省く小規模レンタル、土地の小規模分譲などオーダーメイドの対応も行える。入居企業の30%が日系企業であり、日本駐在員が住むフーミーフンから約20分の好立地となっている。日本語を話せるベトナム人のスタッフ確保にも前向きで、コンビニや外食店の誘致も積極的な姿勢を見せているようだ。ユーティリティサービスにも力を入れ、住宅地などの専門サービス・保険医療施設のサービスも手厚く行い、労働者のために安定したビジネス環境を確保することに尽力している印象だ。

 

まとめ

以上、北部・南部の工業団地について触れてきたが、感じていただいたように特徴は文字通り千差万別。自身の企業の特徴を捉えた上で、最も適した団地を選ぶことで最大の投資効果を得られるはずだ。

インターネットには様々な比較資料がアップロードされているため、気になったものがあれば各自詳しく調べてみることをオススメする。

最も適した団地が見つかることを心から願うと共に、ここで筆を置きたいと思う。

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Kazuki Hori

Kazuki Hori

「3度の飯より10度のプロレス」を謳う重症患者のプロレスファン。 2019年8月よりハノイにて留学を開始。 マーケティングの勉強をキッカケにVEHO Worksにインターンとして参加、PR BOXの管理を任され現在に至る。 好きなレスラーは”世界一性格の悪いプロレス王”こと”鈴木みのる”。

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