ベトナム・ライフスタイル

「ベトナムで製造加工といえば”EXT”」日本人社長・渡辺氏にインタビュー

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※この記事は月刊エミダス(ベトナム版)の2月号で掲載したインタビュー記事と同じものです※

「ベトナムで製品加工といえば“EXT”」―この目標をもとに、2014年よりハノイで精密部品の加工を行っている「EXT ENGINEER VIET NAM(記事内 EXTと表記)」。

このEXTで、100人ものベトナム人をひとりで管理するのは唯一の日本人である社長・渡邉 鋭幸氏。

「なぜベトナムに進出したのか?」「国産クオリティをベトナムで再現する工場運営とは?」「ベトナムでの工場で行う教育のコツは何か?」などなど…。

工場をベトナムで運営するための秘訣と今後の展望について、赤裸々に語っていただいた。

 

ベトナム人の国民性や技術の質に感動したというのが大きいです

―ベトナムに進出したキッカケは何ですか?

元々本社が福島県にありまして、そこで中国に外注委託で発注をしていました。しかし、中国では単価が安定せず品質が合わなかったので、それを満たせるところを探そうと思ったことがキッカケです。

 

―昨今では様々な東南アジア諸国が注目されていると思います。その中で、最終的にベトナムを選ぶに至った決定打はありますか?

ベトナム人の国民性や技術の質に感動したことが大きいです。最初に進出を決めたのは2009年で、日本の本社においてベトナム人の実習生を採用するところから試みを始めました。その時、ベトナム人の対応力や日本式のやり方に対する理解力が素晴らしいと気づいたのです。また、応用力も大きいです。経験した技術を別の機会でも応用して活用できるなど、そういうところでベトナム人の強みを感じますね。

 

―ちなみに、初めて来た時と現在のベトナムを比較してどう思いますか?

2010年に初めてベトナムに来たのですが、その時はインフラが不足していたり汚れが目立ったりしていてあまり好きじゃなかったです(笑)。ですが、次に2014年に来た時には大きく変化していましたね。やっぱり、人も車も増えて経済が回っているんだろうなというのは感じました。

 

―経済の伸びを感じたわけですね。工場を経営していてもそれを感じますか?

始めた当初はベトナムで製品を作り日本の本社に輸出していましたが、徐々にベトナムに進出する日系企業が増え始めましたね。年月を重ねるに合わせて見積もりや案件数は増加していますし、その経済的な伸びという「威力」は感じましたね。

 

―なるほど。現場で働いていらっしゃるのはベトナム人がほとんどですか?

EXTの場合は特殊だと思いますが、約100名の従業員がいる中で、日本人は私ひとりだけです。当然言葉の壁もありますが、通訳などを介してコミュニケーションを取ることで仕事を進めています。

 

EXTの強みは「日本のものづくり技術を、そのままベトナムに持ってきた」ということです

―それでは、企業概要についてお伺いします。EXTさんはどのような分野を扱っていらっしゃるのですか?

我々は貴金属の精密部品の製作加工を行っています。精密部品とは、ファクトリー・オートメーション(注・工場において生産過程を自動化すること)など工場の効率化の設備に使われる部品のことです。お客様のほうである程度設計されたものを、我々が部品として供給しています。

 

―その部品を作る過程では、どのような技術を売りにしていますか?

お客様が展望する形状・品質・価格、そういったものを忠実に再現することが第一歩です。その中で、お客様がすでに求めているものだけではなく、その「もう一つ先」をどのように提供し、協力していくかが他社さんと競うべきところになります

 

―なるほど。加えて、他社製品との違いはどこにあるとお考えですか?

精密部品の製造会社の基本となる部分は同じですが、EXTの強みは「日本のものづくり技術を、そのままベトナムに持ってきた」ということです。よくお客様が「品質は大丈夫なのか」「ベトナムで経験が浅いのにやって大丈夫なのか」とご指摘されるのですが、我々が自信としている品質の部分は大前提にしていますし、現場・管理の両方の立場からしっかりと意識しながら、それは最優先にしています。

 

―「ものづくり」という性質上、品質には特に注意されていらっしゃるんですね。

見たときの光り具合(光沢)ですとか、触った感触で品質の違いを感じやすいです。例えば、ある製品に触れたときに指が切れてしまったり引っかかってしまうのは当然ダメなわけです。お客様も怪我をしてしまう部品は避けるので、各メーカーはそこを必ず意識します。

 

―また、EXTさんは「国産品質」を掲げていらっしゃいますよね。“異国の地”ベトナムで“国産”のクオリティを保つためにはどうしているのですか?

我々は数年前から、技能実習などの形で日本にて教育された技術者を数名採用しています。彼らが教育の中心となり現地のベトナム人を教育することで、全体のレベルアップを図っています。日本の技術を習得したベトナム人が現場で教育の中心になっていることで、「日本のものづくり」をベトナムでも行える環境が整っているのです。

 

―なるほど。他にもアピールできるポイントはありますか?

EXTは「丸いものから四角いものまで」という長所も売りにしています。ベトナムのほうではある程度「丸形といえば〇〇社さん、四角型といえば☓☓社さん」と色分けされているのですが、そこで「我々は全てカバーできます」と。

 

―加工において万能であることをアピールしていきたいわけですね。

また、お客様の納期に答えられる設備も力となっています。日本だけではなくベトナムでも、短納期というのは普通のこと。「注文していただいて3日後には納品」というのが特別ではないのです。

 

教育では日本で言うところの「多能工」を育てているのです

―「3日後の納品が普通」というのはかなりシビアな世界ですね。柔軟に製品や納期に対応するために心がけていることはありますか?

それらを確実にこなせるようになるには、従業員の「教育」が一番大事。様々な状況に対応できる作業員がどれだけ揃っているか。そういったことに気を配ることで、小ロット(少ない量)や短納期に対応できるようにしています。

 

―教育が重要な鍵を握っているのですね。ベトナム人への教育は具体的にどのように行っていますか?

EXTでは社内の技能試験を設けています。ランクや種類も様々で、従業員のメリットとしてはそれらを取得することで給料が上がるので、モチベーション向上に繋がります。「簿記2級を取得したら昇給」みたいな感じですね。また、違う部署の資格を取ったとしても昇給の対象にしています。つまり、教育では日本で言うところの「多能工」を育てているのです。いざとなったときに助けてもらえる力は従業員・経営者からしても心強いので。そういった意味で、現場の従業員のためにも色んな技術を身に着けてほしいですし、それに見合った対価も払われるべきだと考えているのです。

 

―では、「技術」とは具体的にどのようなものですか?

例えば、このような設計の図面があるんですけども…(ここで筆者にひときれの図面を渡される。「球体」の製品の設計図らしいが、私にはただの「↑(矢印)」のマークにしか見えなかった)。

 

―えっ、全然何なのか分からないです(笑)

普通はそうだと思います。つまり技術とは、「こういったものを見てどのように作るのか」ということです。これをひとつとっても、どこから始めてどう削るのかは人によってバラバラになってしまいます。しかし、経験を持っている人たちだとある程度流れが統一化されてきます。自分の思ったように製品を作れるためには、その技術が必要となってくるのです。

 

―なるほど。確かにここまでお伺いすると、本当に従業員の技術を育成させることが大切というのが伝わります。

また、削る刃物によって見た目や精度も変わってきます。そこも技術であり、国産クオリティをキープするコツとなっています。

 

―では、ここまで様々な教育に携わると、その過程で「文化の違い」に悩まされることもあるかと思います。その場合にはどのように対処していますか?

日本人であれば細かいニュアンスも伝わりますが、ベトナム人が相手になるとそう簡単にはいきません。なので、現場の管理職には私が自ら「やってみせる」ことで教育を行っています。

 

―管理者も一丸となって教育に携わるわけですね。

その通りです。口で説明するだけだと勘違いしてしまうことがあるので、それを防ぐためにも「やってみせる」教育は常に意識して行っていますね。

 

「ベトナムで製品加工といえばEXT」になる

―それでは、ベトナム国内の事業についてお伺いしたいと思います。ベトナム国内のみで行われている、独自の取り組みはありますか?

先程お話したように、第一はお客様に求められる会社になることです。そして、企業の目標としては「ベトナムで製品加工といえばEXT」になる。それにはある程度のものに対応できる力が必要となるので、「それをやるためにはどうするか」というテーマに対し、設備計画・従業員教育を行ってきた次第です。

 

―今後のベトナム事業の目標や展望はありますか?

「ベトナムで製品加工といえばEXT」になりたいので、それに恥じないようなものづくりを進めていきたいです。現場の者もそうですし、私自身も勉強しなければならないこともありますし。お互いに勉強しながらやっていきたいです。

 

―職場全体が一貫となって取り組んでいくわけですね。

ウチの社訓には「社員とともに“五感”を共有して共に育とう」というものがあります。“五感”というのは「ものづくりに関する五感」で、触った感触・聞いた感触・削った感触、そういった感性を皆で共有し同じ価値観を持つことで、社内全体で同じものを作れるようになり、一つのまとまりになれるというわけです。そうなれば、対応力も全体で出てきますし、最終的な目標にもつながってくると考えています。

 

―それでは最後に、2020年の抱負をお願いします。

今まで設備投資・社内教育などの形で「タネ」を巻いてきたので、それに対して実績を出さなければならない年だと思いますし、そのために何を行うかということがテーマとなってきます。

 

―「タネ」から始めたものを「収穫」しに行くわけですね。

そして、現場の教育も継続してきたことで技術も上がってきていますから、その現場の人たちに実績を出させるのが私の責任となると考えています。初めにベトナムに来てから10年という節目ということでも、2020年は実りのある年にしたいですね。

 

(了)

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Kazuki Hori

Kazuki Hori

「3度の飯より10度のプロレス」を謳う重症患者のプロレスファン。 2019年8月よりハノイにて留学を開始。 マーケティングの勉強をキッカケにVEHO Worksにインターンとして参加、PR BOXの管理を任され現在に至る。 好きなレスラーは”世界一性格の悪いプロレス王”こと”鈴木みのる”。

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