ケーススタディ

熱烈プロレスファンの僕が「新日本プロレス」の広報戦略を紹介してみた

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プロレスは”世界最大のスポーツビジネス”

世界で一番儲けているスポーツ団体は「プロレス」という事実

いきなりですが、皆さんに問題です。

 

「世界で最も儲けているスポーツ団体ってどこでしょう?」

 

実は、最も儲けているスポーツ団体はサッカーでも、野球でも、バスケでも、はたまたラグビーでもありません。

 

なんと、「プロレス」なんです。

 

3位はドイツのサッカーチーム「FCバイエルン・ミュンヘン」、

2位はあの英国サッカー団体「マンチェスター・ユナイテッド」、

そして堂々の1位が、アメリカに本拠地を置くプロレス団体「WWE(World Wrestling Entertainment)」。

それもそのはず。WWEは世界100ヶ国以上をそのマーケットにし、売上高はなんと940億円に登るほどです。

この事実、ご存知なかった方は多いのではないでしょうか。

(参考:https://www.youtube.com/watch?v=i86ISzFIshs&list=LLrAEMifBnbiJsi6jwRpEIPg&index=10&t=0s

世界規模で勢いを増す「新日本プロレス」とは?

世界に存在するプロレス団体は規模を問わずして200を越えると言われています。

しかし、その数ある団体の中で世界2位の団体と言われ、プロレスマーケットを牛耳るWWEに迫る勢いで成長しているのが、日本の老舗団体「新日本プロレス」なのです。

新日本プロレスは1972年にアントニオ猪木氏が旗揚げした団体で、2000年代の総合格闘技ブームによる低迷があったものの10年代から復活を遂げ、現在は全国各地の会場で「満員札止め」をマークし続けています。

近年の売上高は約50億円に登り、2019年1月に行われた東京ドーム大会には38000人以上、さらに同年4月にアメリカ・ニューヨークで行われた興行には16500人もの外国人が押し寄せる快挙を成し遂げています。

※毎夏1ヶ月に渡り全国各地で開催される「”真夏の最強戦士決定戦”G1 CLIMAX」のプロモーションビデオ。映像から会場の熱気を感じ取ってください。

さらに、19年10月には新日本プロレスがアメリカに現地法人を設立することを発表しました。昨今、新日本プロレスは海外戦略に力を注いでいるため、世界中でさらなる注目を浴びることになるでしょう。


皆さんの耳に馴染みがあるかもしれない「アントニオ猪木」「タイガーマスク」「藤波辰爾」「長州力」「闘魂三銃士(武藤敬司・橋本真也・蝶野正洋)」らの時代を上回る人気を取り戻した新日本プロレス。

その裏には、広報戦略の成功が大きく関わっていたのです。

 

新日本プロレスの成功を支える「広報・マーケティング戦略」

昔のプロレス広報はかなり味気なかった

プロレスの会社の広報、つまり試合の宣伝を行う方法はかなりシンプルでした。

かつて、新日本プロレスは1988年までゴールデンタイムにプロレス中継を行っていたため、特別な広報を打たなくても「テレビを見てくれること」それ自体が広報の役割を担っていました。

皆さんも、お住まいの地域にドラマ番組に出ている俳優がショッピングモールなんかにやってくるとなれば興味を持ってひと目見に行くことでしょう。

これを新日本プロレスで例えると、「ドラマ番組=中継」「俳優=レスラー」「ショッピングモール=体育館」になるというわけですね。

そのテレビ放送を除けば、

①興行が行われる街でポスターを貼ってもらうようにお願いする

②チケットを売って回る

これが限度だったわけです。

常に”広報戦略を打ち出さなくても勝てる”状態で順風満帆の新日本プロレスでしたが、2000年代からK-1などの総合格闘技ブームが始まり、主力選手の離脱等も相まって、新日本プロレスは売上を落としていきます。

しかし、2012年にブシロードが新日本プロレスを買収したことを契機に、新日本プロレスの広報戦略は革命を起こします。

 

大規模広告で”流行ってる感”を作り出す

ブシロードが新日本プロレスを買収した12年の夏、ブシロードは思い切った大規模広報を打ち出します。

7月から8月にかけて行われる”真夏の最強戦士決定戦”G1 CLIMAXに合わせ3億円とも言われる予算をつぎ込み、首都圏交通機関を”プロレスまみれ”に仕立て上げたのです。

新日本プロレスが仕掛けた広告の実例をいくつかご紹介します。

  • 山手線1編成11車両をまるごとレスラーでラッピング
  • 新宿駅内コンコースに超巨大ポスター
  • 関東首都圏のJR全車両に車内ポスター9000枚
  • 日本に3台しかないロンドンバスをラッピングし、首都圏を走り回る

これには「プロレスがまた流行っている”感”を作り出す」という目的があり、昔プロレスを見ていた人達に「昔はよく見てみたな、せっかくだからまた行ってみようか」とキッカケを作るための広報戦略。

この巨大広報は大きな功を成し、その夏に両国国技館で行われたG1 CLIMAXの優勝決定戦は11500人(超満員札止め)をマーク、以降毎夏行われる優勝決定戦大会は超満員札止め状態が続くこととなります。

(参考:https://www.njpw.co.jp/43691、書籍「新日本プロレスV字回復の秘密」

 

新日本プロレスは「SNS活用の天才」

また、新日本プロレスが力を入れている広報手段がSNS。

ツイッターやInstagramをメインに情報を拡散しています。

 

①情報配信手段としてのSNS

このように、新日本プロレスは様々なSNSを利用して情報を配信しています。

大会やチケット情報・試合結果・新着グッズ・番宣・選手インタビューなど、その内容は多岐にわたり、1日だけで20件近くツイートすることもあります。

 

また、新日本プロレスは選手にSNSを使うことを積極的に勧めています。

「生まれてから”疲れた”ことがない」と言い張る”新日本プロレスのエース”棚橋弘至選手にファンが「疲れがとれる」と発したシーンを送り、動揺する棚橋選手の一幕。

御年52歳、体重120キロを誇る”野人”中西学選手の朝食風景。繰り返しますが、これは朝食です。この驚愕的な量から「モンスターモーニング」と異名が付くほどです。

 

これ以外にも、タイトルマッチ前にSNSを通じて選手がコトバで煽り合ったり、日常生活での出来事を報告するなどSNSの発信内容も多岐に渡り、選手の個性が出るものとなっています。

このように、会社と選手が共同となり積極的にSNS発信を行うことで、ファン・プロレスに興味のない一般人をも巻き込める一大広報プラットフォームが完成するのです。

 

②口コミとしてのSNS

また、数年前から試合前・入場時の選手の行動に変化が起きました。

なんと、入場時に足を止めたり、リングインするとコーナーポストによじ登りポージングをするようになったのです。しかも5秒ほど同じ体勢をキープ。

 

この投稿をInstagramで見る

 

#rockandrollexpress #第三の男 in #Philadelphia 🎸 ギブソンさんにいただいたお宝♪最高にロックなお二人でした。

棚橋弘至さん(@hiroshi_tanahashi)がシェアした投稿 -


実はこれもSNS広報のための一工夫。

選手がポージングの時間を作ることでファンは写真を取りやすくなり、それがSNSに投稿されれば、まず投稿者の知り合いなどに認知・拡散され、プロレスを知らない人にも情報が広がっていきやすくなります。

つまり、興行を単なる”試合”として捉えるのではなく、立派な口コミ生産の場として捉えているのです。

このような小さな工夫が新日本プロレスの広報手段となり、そこから「プロレスを見に行ってみよう」という感情が芽生え足が運ばれ、やがて満員の会場が出来上がるというわけです。

 

新日本プロレス・広報宣伝部 真下義之氏はこう語っています。

それまでは各部署から届けられる情報をSNSでは、注目ニュースみたいな感じで絞って配信していたんですけど、あまりにも他部署からのリクエストが増えてきたので、「もう全部のニュースをTwitterで出してしまおう」と方向転換したんです。

(中略)

ありとあらゆる情報を網羅することで「公式アカウントをフォローしておけば、その日の新日本プロレスの情報はだいたいわかる」という方向に転換していったんです。

(引用:https://ferret-plus.com/12467

SNSのアプリを開き、タイムラインを訪れれば新日本プロレスに関する情報がほとんど完璧に手に入る。

つまり、有料の広告を出さなくともSNSだけで十分に情報を発信することができる。

「SNSの広報を制する者がスポーツビジネスを制する」と言っても過言ではないのでしょうか。

 

広報としての”動画配信”

新日本プロレスは広報の一環として動画配信(映像コンテンツ)も力を入れています。新日本プロレスにとって動画配信は広報において重要な役割を果たしています。

  • YouTube

例えば、新日本プロレスのYouTubeチャンネルでは大会の告知CMに飽き足らず、試合結果・グッズ紹介のVTR・選手が大会の見どころを紹介する解説番組・一週間無料で見れる過去の試合映像などコンテンツを充実させています。色んな人の目に触れやすいYouTubeだからこそ、多様なコンテンツを充実させているのです。


ちなみに、導入でご紹介した世界一のプロレス団体「WWE」がYouTubeから得る広告収入は20億円を超えるとのことです。

YouTubeが広報のプラットフォームとなり、また重要な資金源となるわけです。

 

  • 動画配信サービスサイト「新日本プロレスワールド」

新日本プロレスが近年力を入れている広報、それが動画配信サービスです。

新日本プロレスは新日本プロレスワールド」というサブスクリプション型の動画配信サービスサイトを有しています。

「新日本プロレスワールド」の機能をざっくりまとめると、

  • タイトルマッチなどの主要大会を完全生中継
  • 昭和・平成・令和を問わず過去の映像が見放題
  • 選手や会場の裏側に密着したドキュメンタリー映像の配信
  • 以上を含めてたったの月額999円

というもの。念の為ですが、僕は決して新日本プロレスの回し者ではありません。

さて、新日本プロレスは年に150もの興行、つまり3日に1回のペースで試合を行っており、選手の体調の負担を考えるとこれ以上試合を増やすことは不可能であり、また会場の収容人数にも限界があります。通常の興行収益に加え、新たな収入源がないと成長は見込めないわけです。

そこで注目されているのがこの「新日本プロレスワールド」。

現在の会員数は10万人に登り、利用者の約半分は海外ファンによるもので、最近は英語に加えてフランス語の映像コンテンツも追加されました。

スマホ・パソコン・テレビ、どのようなチャネルからでもプロレスを見られる環境を作ることで、新日本プロレスのストーリーの流れを追うことが可能になり、それは動画配信サイトのユーザー(つまり顧客)と新日本プロレスの関係を強固なものにすることに繋がります。次いではユーザーの近くで興行を行う際にはチケットの購買効果の向上につながるというわけです。

動画コンテンツを配信することが、立派な広報的な役割を担えるというわけです。

(参考:https://victorysportsnews.com/articles/6672/originalhttps://youtu.be/i86ISzFIshs

【まとめ】特殊なスポーツ業界だからこそ学べるものがある

正直いって、新日本プロレスは”スポーツ・エンターテインメント”という比較的ニッチな業種であるため広報のやり方はかなり特殊に映るかもしれません。

しかし、自分のもの異なる業種の広報戦略を知ることも、なにか新たなアイデアを得る立派な手段になり得ると僕は考えています。

今回は「新日本”プロレス”」を取り上げましたが、スポーツビジネスに興味を持った方は野球・サッカーなど、その他の運営団体の広報戦略を調べてみても新たな発見があるかもしれません。

是非ご参考にしてみてはいかがでしょうか。

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Kazuki Hori

Kazuki Hori

「3度の飯より10度のプロレス」を謳う重症患者のプロレスファン。 2019年8月よりハノイにて留学を開始。 マーケティングの勉強をキッカケにVEHO Worksにインターンとして参加、PR BOXの管理を任され現在に至る。 好きなレスラーは”世界一性格の悪いプロレス王”こと”鈴木みのる”。

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